(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝苦労人〟猫のホテル

猫のホテルが誇る8人の男優陣が、その役者としての力量を見せつける再々演。(ちなみに、初演は97年のこまばアゴラ劇場、次は2000年のザ・スズナリだった)いつの時代にも、苦労ばっかりする損な役回りの男っているよね、という話を8編のオムニバス形式で綴っていくもので、8人の男優がそれぞれのエピソードで主役を受け持つ。
8つの時代とは、室町時代中村まこと)、安土桃山時代(いけだしん)、戦国時代(森田がんつ)、江戸時代(岩本靖輝)、明治(菅原永ニ)、大正(市川しんぺー)、昭和(村上航)、平成(池田鉄洋)で、それぞれ主役たちがいい芝居を見せるのがもちろん劇団側の主眼だとは思うが、脇にまわった時にみせる巧さにも、目を瞠るものがあり。もちろん、全編を脇でしめる千葉雅子と佐藤真弓の存在も見逃せない。(とりわけ、昭和のパートでのふたりのあばずれぶりは最高)
初見のわたしは、最初、物語の構造が掴めないもどかしさがあったが、山城家という血筋に受け継がれていく苦労性の遺伝子の物語かと得心のいった後半は、ゆったりと役者芝居に没入できた。過去の初演、再演を観てたり、しっかり予習してくる人にはいいのだろうが、エピソードの繋がりをなんらかの形で観客に悟らせる工夫がほしい気もする。全体の構造を理解したうえで、もう一度前半を観てみたいと思わせるリピーター狙いの思惑があるのかもしれないが。(120分)※29日まで

■データ
ソワレ/三軒茶屋シアタートラム
4・18〜4・29
作・演出/千葉雅子
出演/中村まこと、森田ガンツ、市川しんペー、佐藤真弓、池田鉄洋、村上航、いけだしん、岩本靖輝、菅原永二千葉雅子