(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝狂想のユニオン〟イキウメ第8回公演【速報】

閉塞状況におかれた近未来の日本が舞台。主人公の警察官は、歌舞伎町の風俗店を捜査中に、何かのはずみで不思議な場所へと踏み込んでしまう。そこは、地図にない街が存在する異空間で、虚構が現実を侵食する不思議な場所だった。この街に引き寄せられるようにやってきた数組の人々とともに、主人公はこの現象に抗おうとするが。
ちょっと不気味で、非常に思索的な世界観が支配するイキウメならではの舞台は、今回も素晴らしい。抽象的な概念を、具象の物語とするようなスリルがあって、いっときも目を離せない緊張感がある。市長や女精神科医といったひと癖もふた癖もある登場人物や、油屋という謎の存在(神か?)を演じた個性的な役者たちが、濃厚なイキウメ・ワールドを構築している。シンプルだが個性的で力強い舞台美術が、今回も光っている。(120分)※3月21日まで吉祥寺シアターにて。初日ソワレ。