(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

Starless New Album Release Tour @渋谷Guilty

ジュタローさんには気の毒だけれども、自身のメタル系バンド、Figaが活動休止(?)の憂き目にあったことが却ってプラスに作用したかも、と思える公約実現だった。その公約とは、14年ぶりというStarlessの新アルバム〝Ⅳ Story Never Ends〟のリリースである。レコーディングのアナウンスがあったのが、一昨年のGuilty(当時はまだ恵比寿にあった)でのライブだったが、正直、出来上がるのはいつのことやら、と気長モードで受け止めていた。しかし、ほぼ1年をかけて通算4枚目のアルバムが完成、この日のレコ発ライブとなった。いやぁ、本当にめでたい。
去年は、過去のアルバムの紙ジャケ再発などもあって、大阪では夏に1度ステージに立ったようだが、東京ではまるまる1年が空白だったことになる。この日の対バンは、プログレ・ハードのALHAMBRAだけど、そちらはパスするつもりで1時間遅れで会場に入ったところ、ALHAMBRAの演奏は始まったばかり。たっぷり1時間の熱のこもった演奏に付き合うことになった。マージュ・リッチを前身とするこのバンドは、一昨年に神戸で見ているけれども、その時の演奏よりもプログレ色が強まったのではないだろうか。陽性の曲想を感じさせる曲が多いのも、このバンドの持ち味かもしれない。ギタリストが替わったようだ。
さて、かなり押してのStarless。幕があがるや、立て続けにニュー・アルバムから5曲をやって、〝覚えるのは、これぐらいが限界〟とジュタローさんがMCで笑わせる。シェアラザードの〝ラプソディ〟を中川のギターとボーカルをフューチャーしてやったあとは、堀江の壮絶なドラムソロがあって、後半戦突入。
そのトップは、4thアルバム一の大曲〝Stage〟。第2期スターレスのレパートリーで、大久保寿太郎作詞・作曲。メイドインジャパンから出たライブアルバムにも収録されていて、とにかくその泣きがめちゃくちゃ素晴らしい。わたしは、この曲が正式にスタジオレコーディングされたというだけで、死んでもいいと思うくらい嬉しい。ましてや、それがライブで聴けるなんて、ほんと生きてて良かった。
ここからは、〝銀の翼〟や〝In The End〟といったお馴染みの曲でエンディングまで畳み掛ける展開で、プログレ謡曲にメタルのフレイバーを絡めたスターレスの本領がエンディングまで続く。いつも思うことだけれど、荒木真為(SIEGFREID)との出会いが過去の存在になりかけていたスターレスというバンドを見事に甦らせましたね。たまにメタル乗りというお里が出るのはご愛嬌だが、溌剌とした歌唱、堂々たるステージングが、スターレスに現役バンドとしてのエネルギーを吹き込んでいると言っても過言ではない。
つまりは、荒木というボーカリストの存在があって、今回のアルバムリリースがかなったともいえるのだけれど、そういうバンドの復調がフィードバックするかのように、荒木の声に艶のようなものが出てきているのも事実で、この出会いは双方にとってプラスのベクトルをもたらしているといっていい。4thアルバムのリリースがバンドの到達点ではなく、単なるマイルストーンに過ぎないことをファンとしては切に願いたい。