(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝木曜の男〟自己批判ショー

王子小劇場の佐藤佐吉演劇祭も、そろそろ中盤。初めてその名を耳にする劇団やユニットがぽつりぽつりと登場する。自己批判ショーは茨城県古河を根拠地とする劇団で、言われてみれば前回公演の〝KOGAMAP〟のちらしが記憶の片隅にあるような。今回の出し物は、チェスタトンの長篇小説「木曜の男」を本歌取りしたミュージカル仕立てのコメディである。
仲間同士が曜日名で呼び合う謎のレジスタンス組織が、在日日本人を地位向上のために、南北朝鮮が統一されるセレモニーの中、両国首脳の暗殺を目論む、というのがメインストーリーだけれど、さほどこの物語自体に意味はない。コントやネタを繋いでいく形式で、その間に生のバンド演奏が入る。
印象はまったく異なるのだが、破天荒な設定にギャグを絡めていく手法は、拙者ムニエルに通じると思った。しかし、向こうにくらべて、毒は見せかけだけだし、地の域をでないへなちょこぶりが目立ち、ギャグのクオリティーでは正直かなり見劣りする。(最後の転校生ネタは、ちょっと良かった)
観客巻き込み型も、それ自体が悪いとはいわないが、結局それに依存しないと成立しないような舞台運びでは、なんだかなぁ、という白けた印象を持たざるをえない。前説は、お付き合いしたが、居心地が悪いばかりで、それも結局報われなかった気がする。もちろん、発展途上の劇団は、そういうステップを踏んで成長していくものではあるのだが。(90分)

■データ
2006年10月30日マチネ/王子小劇場
10・27〜10・30
佐藤佐吉演劇祭参加作品
作・演出/栗原崇浩
キャスト/栗原崇浩、小菅節男、山本治、川辺健、大久保宏章、松葉祥子、中川稔朗、紺野秀行、うにたもみいち、横木亜衣(key)、五十部裕明(key,pf)、藤井悟(b)
歌詞/ 栗原崇浩 音楽/小菅節男・川辺 健 舞台監督/藤田 有紀彦 照明/工藤 雅弘 音響/大塚 信之(PAC) 映像・小道具/橘川 巧