(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

サスペンデッズ第12回公演「GO HOME」

早船聡の戯曲は、人間関係の機微を濃やかに描くところにウェルメイドで確かな力を感じるけれど、そこに演劇的なセンスオブワンダーが加わったときに、とてつもない作品が生まれるのではないかという気がしている。例えば、星のホールにかけた『夜と森のミュンヒハウゼン』(2009年9月)のように。
なんて、観る側の妄想を押しつけられても困るってところかもだが、今回の「GO HOME」は、その域に近い仕上がりのように感じた。帰郷を主題に、さまざまなエピソードが過去の亡霊たちを甦らせるように、絡み合いながらエピソードが連ねられていく。ファンタジーへの越境もちらかせる一方で、現実の重みを観客につきつける厳しさもある。実に奥行きのある物語のつくりになっている。
開演二日目ということもあってか、空席も目立った。三日目以降の大入りを願うばかりだ。(マチネ、120分)

■データ
6・15〜6・24@吉祥寺シアター
作・演出/早船聡
出演/佐藤銀平、伊藤総、佐野陽一、鈴木理保、橘麦、間瀬英正、千葉沙織、新田めぐみ、白州本樹