(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

中野成樹+フランケンズ「ナカフラ演劇展」Aプログラム

あまたある翻訳劇の紹介と、誤意訳を掲げてのその解釈の可能性を広げてくれるという点で、ナカフラへの期待は尽きないが、見逃している作品も実は多い。というわけで、少しでも多くの演目を観たいと思っているファンにとって、ショーケース形式でのエントリーするアゴラ公演は実にありがたい。
Aプログラムの『スピードの中身』(2010年初演)は、ベルトルト・ブレヒト原作の『了解についてのバーデンでの教育劇』を大胆に(?)翻案したもののようだ。めまぐるしく展開していく模擬面接地獄が、軽快かつ軽妙なフットワークと素早い切り返しで語られていく。ああいえばこういう的なやりとりの嵐だが、そのひとつひとつに機知と閃きがこめられている印象は原典の持ち味か。温故知新にも感じられた。面白いなぁ、ブレヒト
ちょっと観ぬ間に、役者の層が厚くなった印象。ふたりの女性によるオープニングアクトの不思議なダンス・パフォーマンスも眼福であった。(マチネ、60分)

■データ
6・7〜6・20@こまばアゴラ劇場
誤意訳・演出:/中野成樹
出演/村上聡一、野島真理、福田毅、石橋志保、竹田英司、斎藤淳子、田中佑弥、小泉真希、洪雄大、北川麗