(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「この世界から消える魔球」Duck Soup produce2009

チラシに掲げたこのひとことにぐっと来ました、ブルースカイの新作。すなわち、「やっぱりナンセンス劇ってもう古いですか?それならそれで、そういうの懐かしみに来てください。」もちろん、行きますとも。しかも、今回は池谷のぶえや小林裕次郎も顔をそろえる猫ニャーが復活したかのような舞台。
公開死刑専門の劇場パラダイス座も、ここのところチケットが売れず、傾きかけている。出演者=死刑囚の食費もかさみ、チケットの売り上げを上げて、なんとか糊口をしのごうとするも失敗。どこからともなく勇者が現われ、完売を約束するが、兄弟にはそれぞれ信じられない運命が待ち受けていた。
個性派の役者たちの個人技に支えられた作品。それを引き出しているのは作・演出へ寄せる出演者たちの信頼感であることは想像に難くない。確かに、かつて同じスクールに籍をおいていたケラと比較しても、時代においてきぼりを食わされた体のブルースカイだが(失礼)、ナンセンスな笑いこそ普遍ともっと開き直ってもいいのではないか。少なくても、お手軽な寄せ集めのコント集ばかり見せられている観客としては、笑いどこ満載で
想像の域を出ないが、稽古場の雰囲気も悪くないのだろう。ホームグラウンドではいまひとつ目立たないところに廻ってしまうことが多い安澤千草や高田郁恵も、のびのびといい芝居を見せていたのも印象に残った。(105分)
(105分)

■データ
最前列とはいえ低い椅子はツライよのマチネ/下北沢ザ・スズナリ
3・7〜3・16
作・演出/ブルースカイ
出演/池谷のぶえ、粕谷吉洋、喜安浩平(ブルドッキングヘッドロックNYLON100℃)、小村裕次郎、高田郁恵(毛皮族)、原金太郎、松浦羽伽子、三浦俊輔、安澤千草(NYLON100℃)、吉増裕士(リボルブ方式・NYLON100℃)、田村健太郎