(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「死に際バカンス」劇団桃色バカンス第二回公演

女もつらいよ的に、若い女性の生き方をシニカルに描く桃色バカンスの第二回公演。わたしは、前回公演の好感度もあるけど、神様プロデュースの鈴木華菜がお目当てで。そういえば、主宰の増山千花は神様プロデュースの演出助手やってた人ですよね。
クラブのコンパで知り合った軽めの男、上戸井(猪島涼介)を誘って、南の島にやってきた倫子(南佳那)。旅の目的は、この島で死ぬこと。高校時代に自殺した親友の桜(鈴木華菜)のことが、心のわだかまりになって、今も消えない倫子。
倫子には、ボーイフレンドだった幸一(三澤純一)との気まずい過去もあった。時に見せる幸一の軽率さが、どうしても彼女は許せなかったのだ。倫子の覚悟をしらず、のほほんと遊び呆ける上戸井。幻となって目の前に立つ桜と幸一に、倫子は次第に追い詰められていくが。
前回に引き続いて、本編の前日譚をコミックで事前に配付するサービスは、ここならではのユニークさ。女の子の気持ちというか、負の感情をビビッドに描く率直さ、達者さも、前作をそのまま引き継いでいる。
ただし、お目当ての鈴木華菜が、神様プロデュースで見せていた溌剌さのかけらもなかったのは、どうしたことか。幕切れ近くになって、物語の展開に綻びが見えるのも、もったいないところだ。(85分)

■データ
春の公演が中止になった神様プロデュースがちょっと心配な初日ソワレ/下落合TACCS1179
7・24〜7・26
脚本・演出/増山千花
出演/南佳那、鈴木華菜(神様プロデュース)、猪島涼介、瀬尾正子(劇団☆金魚鉢)、三澤純一