(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝橋を渡ったら泣け〟シアターコクーン・オンレパートリー2007【速報】

大倉孝二八嶋智人さえ使えば、お客が呼べるという風潮は、ちょっとどうかという気がするけれど、この二人を使えば、そこそこの舞台は作れてしまうというのもまた事実かもしれない。今回の〝橋を渡ったら泣け〟は、作者である土田英生の劇団MONOのレパートリーの再演で、演出にそとばこまちの生瀬勝久があたっている。
日本のほとんどが水没してしまった近未来を舞台に、奇跡的にサバイバルした人々がコミュニティを形成している。そこに、流れ着いた新参者は、たちまちコミュニティに溶け込み、彼らとの生活を楽しむようになるが、やがて人間関係に不穏な空気が流れ始める。
集団におけるヒエラルキーの問題を、人間的な温かみに包んで描いた脚本だと思われる。が、物語の展開に意外性がなく、ぬるま湯につかった印象も強い。物語のインパクトはやはり弱いと思う。正直、道徳の授業を聞かされているような退屈さがあった。
幕切れは心地よいが、とってつけたような印象が強い。状況の切実さを描くアクの強さのようなものがあれば、一味違った作品になったのではないか。戸田惠子が、全体の明るい雰囲気を見事に支えている印象。3月28日まで 渋谷Bunkamuraシアターコクーン