(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

ホチキス プロデュース公演「看板娘ホライゾン」

ロリータ男爵が観られなくても構わないけど(失礼)、丹野晶子の姿が舞台で見られなくなったのは寂しく思っていたわたし。というわけで、彼女をフィーチャーしてのホチキスの公演、当然期待に胸も膨らみます。

客が全く来ない饅頭屋「金蝶堂」。父が饅頭を焼き、次女が無愛想に店番、母は一家を食べさせるため働きに出て、長女は引きこもる。そんな金蝶堂に、自らを看板娘プロデューサーと名乗る謎の女性がやってくる。看板娘を生み出し、起死回生をしてみせると宣言するのだが…。(公式サイトより、改行を追い込んで引用)

思い返してみると、マダマダムーン・プロデュース公演「過剰サスペンス劇場/家政婦はいた」(2007年9月、サンモール・スタジオ)は、「家政婦のミタ」の元ネタだったかも。それ以来の顔合わせではないかと思う米山和仁と丹野晶子だが、前半から飛ばしまくる。たどたどしさもそのままなら、強烈な存在感もそのまま。謎の押しかけプロデューサーを独特の味わいで演じる彼女がお話を牽引していく前半は、まさに丹野晶子ショーの趣きだ。
しかし、中盤からはヒロインたちのひとりひとりにスポットライトを当てながら、いかにも米山らしい家族群像劇を織りなしていく。そして最後には、お待ちかね、観客の度肝を抜かずにはおかない大どんでん返しが。毎度の強引さながら、今回もその大技をなんとか決めてみせる。
前作との繋がりをほのめかしたりするあたりの遊びの精神にも拍手。将来は、同じ商店街を舞台にしたシリーズ化を夢想させてくれるあたりは実に嬉しい。しかし、もっと嬉しいのは、思いがけない丹野晶子のカムバックだ。この復活を機に、またどんどん芝居に出てください、丹野さん。(ソワレ、110分)

■データ
5・31〜6・10@王子小劇場
作・総合演出/米山和仁 演出/木内コギト
出演者/丹野晶子、丸尾みゆき、椎名琴音、中村真沙海、齊藤美和子、谷仲恵輔、西川康太郎(ゲキバカ)、山本洋輔
http://d.hatena.ne.jp/apismellifera/20070927/1191105804