(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「北限の猿」青年団全国二本立て公演

科学といえば、平田オリザ大阪大学でロボット演劇プロジェクトに取り組んでいることを、今回の公演情報で初めて知りました。その動画を見たのだけど、ユニークかつ愉快な試みと感心。それはさておき。

「カガクするココロ」の10年後、同じ生物学研究室。遺伝子工学の技術が飛躍的に進歩し、類人猿を進化させるプロジェクトがとうとう始まろうとしている。専門家が研究室に集められた。しかし、そこでかわされる会話は、どこにでもある恋愛、結婚、家族などの話だ。科学と日常の入り混ざった会話の中から、日本人とは何かが垣間見えてくる。(青年団サイトよりあらすじ引用)

国立大学系とおぼしき生物学研究室というのはそのまま。『カガクするココロ』と舞台が同じ本作は、互いに時系列上に並ぶ相似形のような関係にある。強いて言えば、ボノボの生態を通じて、営みとしての性(セックス)についてより奔放に語られるのが、本作の特徴といえるかもしれない。ただし、研究生の妊娠というメタファーもその流れなのだろうが、やや鼻につくきらいもある。
『カガク』と『北限』を連続して観て、かなり似通った印象を持ったが、青春群像とバイオテクノロジーの最前線のどちらに重きを置いて観るかで、捉え方は違ったものになるだろう。あと、両方の作品に明確な繋がり(登場人物の共通など)はないのだが、連続して出演している役者がいるために、わたしのような慌て者の観客は10年という時を隔てて同じ人物を演じているのと勘違いしてしまう。そのあたりに何か工夫があってもいいかなとは思った。(80分)
■データ
商店街のカレー屋さんでしばしお茶した後のソワレ/こまばアゴラ劇場
12・26〜1・26(東京公演)
作・演出/平田オリザ
出演/工藤倫子、村井まどか(体調不良で降板した宇田川千珠子に替わって)、山本雅幸、安倍健太郎、河村竜也、後藤麻美、小林亮子、長野 海、二反田幸平、堀夏子、村田牧子、山本裕子、海津忠、佐山和泉、中村真生