(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ガールフレンド」国分寺大人倶楽部第6回公演

当初は「ストロベリー」と予告されていたが、予定演目を変更しての新作公演。さては、来る佐藤佐吉演劇祭のレースを睨んでの差し替えかな、などとちょっと勘ぐりつつ。

「僕たちのガールフレンドを紹介します。」
僕たちは男3人で暮らしています。豚小屋のように汚い、暗くて狭いアパートです。
この部屋に住み始めた頃、僕たちには夢がありました。今はもう、ありません。どこかへ置いてきてしまいました。
夢をなくした代わりに、僕たちにガールフレンドができました。とってもかわいい女の子です。
・・・なんでかな、その娘はいつも、手が冷たいんです。人間じゃないみたいに。

開演前から照明をかなり落として、客入れの音楽は大音響のロックが流れている。さらに舞台上のセットは、散らかり放題になっている独身者のアパートの狭っくるしい一室、とくれば、兄貴分のポツドールを思い浮かべるな、という方が無理というもの。主宰の河西裕介は、役者として何度かその舞台に上がった経験もあるし。
しかし、そんな先入観は、あっさりと裏切られる。というか、この感覚は肩透かしに近いかも。共同生活状態になっている今どきの若者三人とそれぞれのガールフレンドの関係は、シュールでもあるし、メタフィクションめいてもいる。穿った見方をすれば、現代の若者像をパロディ化いていると言えなくもない。
個人的には、東京デスロックの「3人いる!」を連想したりもするが、中盤の流れにコメディタッチが加わるあたりに、大人倶楽部のカラーが出ているように思える。アイデアだけで満足せずに、そこから物語に踏み込んでほしいところだが、一歩踏み外せば色物になってしまう崖っぷちを、最後まで渡りきる足取りの確かさをとりあえずは評価したい。(80分)

■データ
小劇場系の役者さんや演出家が目だった初日マチネ/王子小劇場
1・14〜1・18
作・演出/河西裕介
キャスト/後藤剛範(害獣芝居)、江ばら大介(elePHANTMoon)、井龍子、永島敬三、石澤彩美、志水衿子(ろりえ)、えみりーゆうな、河西裕介