(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「不躾なQ友」クロムモリブデン

わたし個人の年末進行のスケジュールと公演のタイムテーブルが合わずに、結局年明けに送ってしまったクロムモリブデン。でも、彼らの華やかで賑々しい舞台は、どこか新年向きだよなぁ、と改めて思うクロムの新作。

全然思い出せない同級生と遭い、懐かしくも覚えていない話に華が咲く。しかし奴はあまりにもこちらの事を覚え過ぎていて 気持ち悪いフラッシュバック。そして悩みを打ち明けられ キャッチャーフライを打ち上げられ。ボールを追って 顔を戻した時には そいつは消えており 刑事が笑っていた。(公式サイトより転載)

冒頭で不可解なシチュエーション(殺人を犯したと自供する男がいるが、死体もなければ、殺人が行われた証拠もない)を観客につきつけ、後段でその種明かしをするという仕組みは、一昨年の「血が出て幸せ」を思わせる。しかし、「血が出て幸せ」がシュールな展開で引っぱるだけ引っぱり、ドラマとしてはやや歪な形になっていたのに較べると、物語をめぐる表と裏は見事にバランス良く配置されている。
しかし、それで収まりきらないのが、やはりクロムモリブデン。終盤は、催眠術にかかって、正気の世界に戻ってこれなくなった越中(森下亮)をめぐり、全員が2チームに分かれて、ダンスともパントマイムともつかない団体戦が意味なく繰り広げられる。いやー、実に愉快。
最後に取ってつけたようなエンディングがあるが、一見ぶっ飛んだ物語の収束のさせ方ではあるが、かつてのクロムに較べたらずい分とおとなしく感じられた。クロムが変化しているのか、それともこちらがクロムに慣れてきたのか。(95分)

■データ
観客席の役者さん率が異常(?)に高い楽日マチネ/赤坂RED/THEATER
12・26〜1・3
作・演出/青木秀樹
出演/森下亮、金沢涼恵、奥田ワレタ、久保貫太郎、渡邉とかげ、幸田尚子、小林義典、武子太郎、花戸祐介、鶴田祐也、北川大輔(カムヰヤッセン)、中川智明