(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「眠るために目醒める」reset-N ver.24.0

reset-Nは、上智小劇場、橄欖舎などを経た夏井孝裕が主宰する東京を拠点とする現代演劇カンパニーで、1995年旗揚げ。ヌーヴェルヴァーグを標榜するのは、主宰の渡仏留学経験ゆえか。わたしがお邪魔するのは、初めて。

この作品は二つの場所から立ちあがります。一箇所は皆さんのいる稽古場、もう一箇所は私の部屋です。二つの人体実験を我々は並行して進めなくてはなりません。私は、新しい主人公を創造します。彼女は、眠り続けます。実験が終わるとき、私たちはまた新しい演劇に出会うでしょう。(『眠るために目醒める』作者から俳優に届いたメールより)
問題作の上演から1年。劇作家の苦悩はまだ続いていた。眠りについての新作に行き詰まった彼は、思いもよらない実験を決断する。それは現実と創作を交錯させる作劇の深化だった…。作者の真意を計りかねるまま俳優達は混沌にのめり込んでいく。書いているのは誰なのか?眠りと演劇の関係は?(HPより転載。改行等修正)

サンプリングを巧みに使った音楽(客入れ、劇伴)が流れ、まっ赤な床がお洒落な舞台装置や凝った照明など、これぞスタイリッシュといった入り方に、ちょっと新鮮さを憶えた。硬派の演劇精神が流れているし、判り易い面白さもあって、かといってそれが自家中毒に陥っていないところもいい。初見ながら、癖になりそうなカンパニーと出会った気がする。
ただ、眠りというテーマに対する主宰のこだわりに、観ていてちっとも共感が沸かない。マスターベーションにしても、それを観客に見せるつもりなら、せめてこちらの好奇心くらいは刺激してもらいたいと思うのだが。(100分)

■データ
舞台と客席をま逆に配置したレイアウトが新鮮な最終日マチネ/王子小劇場
6・25〜6・30
作・演出/夏井孝裕
出演/鶴牧万里、原田紀行、田中のり子、山田奈々子、日高勝郎(InnocentSphere)、山前麻緒(劇団夜想会)、西尾美鈴(※織田将一はケガにより降板)