(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ヨシザキ、カク語リキ」バジリコFバジオ

原作福原充則とあるが、正確には福原がピチチ5で上演した過去作品の幾つかから本歌取りした佐々木充郭のオリジナル脚本。原典は、「吉崎、かく語りき」(『はてしないものがたり』より)「魚の生徒」、「牛丼太郎高円寺店」(『おさびしもの』より)の計3作。

100円ショップ店員・吉崎は壮絶な最後を遂げた。イケてない中学時代、調子に乗っていた中学時代、そしてなんとなく生きていたフリーター時代……。しょうもない生活の果てに彼が悟った人生の秘密とはなにか!?幽霊となって我々の目の前に現れた男はかく語りだす!(HPからあらすじを引用)

うーん、残念ながら今回も帯に短し襷に長し、という言葉をついつい思い浮かべてしまう。いや、彼らは贔屓だし、一度は決定打が出たと思ったこともある。(「AC/DC WORLD’S END SCHOOL GIRL!!!!!!」@中野ウエストエンドスタジオ)でも、内容とその表現力のちぐはぐな感じが、どうしても気になってしまうのだ。今回は、内容的な面が、正直いまひとつ。出来合い感があるんだよなぁ、どうしても。もっと破天荒な物語を舞台に出現させてこそのバジリコだと思うのだが。
ああ、もどかしい。なんとか、もうひと皮剥けてほしい。客演の嶋村太一、吉田麻生の個性で、最後まで退屈せずに観られたのが救いでした。(100分)

■データ
間違ってザ・ポケットに入りそうになってしまったマチネ/中野劇場MOMO
6・19〜6・28
原作/福原充則(ピチチ5) 作・構成・演出/佐々木充郭
出演/嶋村太一(親族代表)、森戸宏明(動物電気)、熊野善啓(チャリT企画)、木下実香、近藤佳秀、武田諭、三枝貴志、中込恭史、新井田沙亜梨(7%竹)、杉村こずえ、吉田麻生(むっちりみえっぱり)、川久保宏之(怪物がめざめる夜)、石澤美和