(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「女々しくて」ブルドッキングヘッドロック vol.16

去年の学園二部作@サンモールスタジオで進境著しいブルドッキングヘッドロック。(ちなみに、サンモールスタジオの年間最優秀団体賞を受賞した模様。おめでとうございます)今回は、会場のキャパが狭い分だけ公演期間は結構長い、と高をくくっていたら、残っているのは追加公演のみ、それも残り2枚とサイトに表示されていて、ちょっと慌てました。
アイドルからバーのママまで。テーマは昭和、平成の世を背景に、転々とする人生を辿っていくひとりの女の生き様(いきよう)だ。子ども時代から老年期にかけてを追いながら、母親、祖母という三世代を視野に収め、年代記として語られていく。
ホップ(役に立たないオマエ)、ステップ(とける)ときて、本作でジャンプとなれば、それはもう言うことなしなのだけれど、さすがにそこまでの飛躍はなかった。しかし、観る者にそこはかとない居心地を悪さをおぼえさせる毒が彼らの持ち味だが、狭い空間で、個性派女優陣の魅力を見せつける今回の作品でも、十分とその毒を漂わせている。
不満を言わせてもらえば、ひとりの登場人物を複数の役者たちが演じる手法はいわばひとつの定石で、それだけで演劇のギミックとして通用するものだと思うが、それを十分に活かしきれていないもどかしさを感じた。いや、この舞台でもそれなりに使いこなしてはいるのだが、演じ分ける必然性のようなものがどこかにあれば、さらに良かったと思う。(110分)※19日まで

■データ
客入れのBGMは和田アキ子の古いライブ盤だった追加公演のマチネ/新宿ゴールデン街劇場
4・10〜4・19
作・演出/喜安浩平(ナイロン100℃)
出演/永井幸子、山口かほり、三科喜代、深澤千有紀、藤原よしこ、岡山誠、黒木絵美花、津留崎夏子(世界名作小劇場)、森谷ふみ(ニッポンの河川)