「リチャード三世」パルコ・プロデュース
劇団☆新感線のHPでは、古田新太俳優生活25周年と銘打たれていた連続公演のパート1。(パート2は、いのうえ歌舞伎の「蜉蝣峠(かげろうとうげ)」)いのうえひでのりがシェイクスピアを演出することや、安田成美の11年ぶりの舞台復帰作としての話題もあったが、蓋を開けてみると、ご存知、ウィリアム・シェイクスピアの史劇をオーソドックスに繰り広げてみせた舞台だった。
舞台上に大小ディスプレイが沢山あって、戦争の模様がテレビ中継されたり、リチャードがバイクに乗っていたりという、ところどころに現代的な演出はあるが、大きな逸脱はないままお話は進んでいく。笑いを封印したという話も伝わってきていた古田新太はさすがの貫禄だが、台詞の切れがなかったり、大きな動きのあとでは息切れしていたりと、ちょっと頼りない。
口の悪い言い方をすれば、ひと昔前の不出来なときの新感線を観ている感じ。キャストも豪華だし、シェイクスピアなりのお話も面白さもあるので、さほど損をした気分にはならないが、物足りなさは否めない。いのうえひでのりは日生劇場の「TOMMY」もひどく退屈だったが、この人は原作の縛りが強いと、本来の実力を発揮できないタイプかもしれない。(休憩20分を含み200分)
■データ
パンフの「これまでの話」はややネタばれでは?の初日ソワレ/赤坂ACTシアター
1・19〜2・1(東京公演)
作/ウィリアム・シェイクスピア 翻訳/三神勲 演出/いのうえひでのり*
出演/古田新太*、安田成美、榎木孝明、大森博史、三田和代、銀粉蝶、久世星佳、天宮良、山本亨、増沢望、西川忠志、川久保拓司、森本亮治、逆木圭一郎*、河野まさと*、村木仁*、礒野慎吾*、吉田メタル*、川原正嗣*、藤家 剛、藤木孝/久保酎吉(ダブルキャスト)、若松武史 *…劇団☆新感線