(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「煙の先」イキウメ試演会2 Aチーム

そもそもがいい本であることを再認識して、さてAチーム。さすがに脚本はまったく同じなので、えっ、という驚きこそないけど、Bチームとは違うカラーが明確に打ち出されている。ほとんど裸だったBと較べると、こちらはちょっとだけ舞台装置の工夫(温室をビニールで表現するなど)がある。
AとBのバージョン間の違いでもっとも目立つのは、花屋の店主役だろうか。Bチームのミステリアスで、どこか掴みどころのない森下創も強力だったが、芯がしっかりとしていて、ポジティブな生き方をのぞかせる岩本幸子も、物語をいきいきと引っ張るエネルギーが感じられて○。それぞれ持ち味があって甲乙つけがたいが、花を盗んだ女性に部屋を見せろと迫るのは、男性ではどうも余計な想像が入り込み、無理があるような気がする。その点、岩本が演じるAチームの方が、物語の流れに違和感がない。
シベ少からの篠塚茜の濃い存在感は、やや一本調子ということもあって、浮いてしまっている印象。悪い役者ではないが、今回の芝居との相性がいまひとつなのかもしれない、声の通りの良さが逆に災いして、やたら耳障りに感じられたのが残念だった。(50分)
■データ
スタバでコーヒーの休憩を挟んでの20時の回/明大前キッド・アイラック・アート・ホール
11・26〜11・30
作/前川知大 演出/イキウメ役者部
出演/浜田信也、岩本幸子、緒方健児、篠塚茜(シベリア少女鉄道