(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「煙の先」イキウメ試演会2 Bチーム

演出家の引力圏を離れ、役者部が自主運営する試演会。おそらくは、役者陣のスキルアップと、座付き作家の過去作をアーカイブ発掘することが目的だろう。今回のお題は、2007年1月に前川が参加するユニット贅により上演された作品を、Aチーム、Bチームのふた手に分かれて競い合う(?)という趣向。まずは、Bチームから。
物語のあらすじについてはこちらを。初演時は、正直言っていまひとつに思えた話で、その原因は一見ざっくりとしているが、その実きっかりとした脚本が、達者な役者たちに奔放な解釈(アドリブ等)と馴染まなかったせいではないかと思っている。
しかし、贅肉をそぎおとし、本来の上演時間で演じられると、なかなか面白い本ですね、「煙の先」。ミステリアスな導入と、終盤に向けてのサスペンスフルな展開がなかなかいいバランスで配されている。ホームグラウンドの役者たちの手で、ようやく命を吹き込まれたという感じがする。
今回の趣向は、それぞれのチームに客演を交えていることだが、このBチームで花を盗む少女を演じた伊勢佳世、いいですねぇ。先の「短編集2」では、いまひとつイキウメの個性派たちに押されていたように思えたのだけれど。キッド・アイラックの狭い空間では、そのいきいきとした存在感が映えてました。(50分)

■データ
役者自らのホスピタリティもなかなかのソワレ6時の回/明大前キッド・アイラック・アート・ホール
11・26〜11・30
作/前川知大 演出/イキウメ役者部
出演/盛隆二、森下創、國重直也、伊勢佳世