(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「図書館的人生 vol.2 盾と矛 〜攻めるものと守るもの、武器についての短編集〜」イキウメ

先入観もあることを承知でいうが、舞台における短編集あるいはオムニバスという形式には、どうしてもお手軽感が先にたってしまって、いまひとつ気乗りしない。しかし、イキウメの場合は、その例外のひとつと言っていいかも。前回のvol.1はかなり見応えがあった図書館的人生のvol.2。
メニューは以下の5編(そのうちひとつはパート1とパート2に分かれている続きもの)。ひとつひとつは独立しているが、目だたない繋がりが隠されているのがミソ。

  • 賽の河原で踊りまくる「亡霊」
  • やさしい人の業火な「懐石」
  • 瞬きさせない宇宙の「幸福」その1
  • 東の海の笑わない「帝王」
  • 瞬きさせない宇宙の「幸福」その2

ホラー、サイエンスフィクション系の非日常+不条理=イキウメ的。粒よりな作品が揃っているが、個人的にはコント風のものより、作りこみがしっかりしているのが好み。例えば、ヨハネ黙示録にある天使の吹く喇叭のエピソードが浮かび上がってくる「幸福」などは、ゾクゾクさせられた。サスペンスフルな「懐石」も、キャスティングを入れ替えて、違うバージョンでも観てみたい。ぜひ再演を望む。
殿様ランチの板垣雄亮氏が客演しているのも今回の特徴で、賽の河原で亡者たちにはっぱをかける鬼の役などは、まさに独壇場。「幸福」の不気味なエイリアン役(?)も、得体のしれない不気味さがあって絶妙の味わいがあり。(130分)

■データ
11月の試演会も楽しみな土曜のマチネ/三鷹市芸術文化センター 星のホール
10・24〜11・3
作・演出/前川知大
出演/浜田信也、盛隆二、岩本幸子、森下創、緒方健児、國重直也、伊勢佳世、古河耕史、板垣雄亮(殿様ランチ)、窪田道聡