(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ローションパック」♂本番ナシ♀001

役者として名うての男女が集まる課外活動的ユニットの旗揚げ公演。顔ぶれは、年齢順に最年長の根津茂尚(あひるなんちゃら)、三谷麻里子(ex.つめきり)、池田ヒロユキ(リュカ.)の3人で、二人芝居縛りで活動をしていく模様だ。
内容的には、1本20分程度のオムニバスが3本立て。今回の上演作は、次のとおり。

  • 『No Other One』 作/名執健太郎(ex.smartball)演出/池田ヒロユキ 出演/根津茂尚、三谷麻里子
  • 『赤い石』 作/関村俊介(あひるなんちゃら) 演出/根津茂尚 出演/三谷麻里子、池田ヒロユキ
  • ピサロ』 作/澤唯(projectサマカトポロジー) 演出/三谷麻里子 出演/根津茂尚、池田ヒロユキ

意味深なユニットのネーミングは、三谷によるものとのことだが、そこからの連想にもっとも近いのが1作目の『No Other One』。都会のホテルの一室で、腐れ縁に近い下着姿の男女が交わすともなく交わす赤裸々な会話劇である。次第に、それぞれの性癖のようなものがぼんやりと浮かび上がってくるあたりがいいのだが、暗闇のもどかしさはさておき、台詞が囁きに近く、非常に聞き取りづらかったのが残念。
作品的にもっとも楽しめたのが、次の不条理劇っぽい『赤い石』で、関村俊介の面白さを、盟友の根津茂尚が巧妙に引き出している感じ。最後の『ピサロ』はアイデア倒れ。
ユニットの試運転としては、総花的な演目ということもあって、まずまず。ただ、積極的に次も観たいという気にさせられるところまではあと一歩。短編のオムニバスのお手軽感(いや、実際には余計に手がかかる形態だとは思うが)を乗り越え、このユニットとしての個性を確立していってほしいもの。(60分)
■データ
東上線板橋駅下車の劇場までの道のりが新鮮だったマチネ/北池袋atelier SENTIO(アトリエセンティオ)
8・1〜8・4