(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「鮮やかな食卓」角角ストロガのフ第一回公演

ずいぶんと前から公演チラシが出回っていて、いつの間にやら刷り込まれてしまっていました、角角ストロガのフの旗揚げ公演。主宰者の顔の広さゆえか、出演陣がずいぶん多くのカンパニーにまたがる賑やかさにも惹かれて。
晩餐の食卓で、次から次へと給仕されていく料理に舌鼓をうつ父親と娘。父親は娘に、友人である耳鼻科医の話を聞かせる。彼はあるとき、診察を受けに来た女性患者の耳の形に一目惚れしてしまう。彼女にはコンビニ弁当の夕食を共にする恋人がいるが、彼の職場のトラブルからふたりの関係は危ういものなっていく。
一方、娘が父親に語って聞かせるのは、ある少女マンガ家の話。一目ぼれした男との関係も、一緒に暮らすうちに、いつしかヒモ同然のグズグズの関係になってしまった彼女。ところがある日、トイレを借りにきた隣家の高校生が彼女の目には実に新鮮に映って、あれこれ攻略を試みるが。
ひとことで言えば、まさしくひっくり返ったおもちゃ箱の状態。複数のエピソードを盛り込んでいるのだが、とり散らかした印象が強く、その配列やバランス、見せ方などにもうひと工夫ほしい、というのが正直な感想だ。
物語の構造が一向に掴めないままの展開は、途中やや不安にさせられたが、終盤でやっとまとめにかかってくれて、ほっと一安心。ちょっと強引ではあるが、狙い自体は悪くないと思う。今回の熱意や勢いはそのままに、次回作では木目の細かさも期待したい。(110分)

■データ
宵闇迫る高円寺の街の散策も楽しんだソワレ/高円寺明石スタジオ
6・5〜6・8
作・演出/角田ルミ
出演/国分崇(劇団ハナノシタノミゾ)、平間美貴、根津茂尚(あひるなんちゃら)、辻沢綾香(双数姉妹)、赤川哲也(新宿パープルパンダ)、羽里早紀子(オープンロード)、宍倉靖二(innerchild)、曽雌康晴(東京サギまがい)、高倉大輔(emeЯpus)、中川由紀子(多少婦人)、西尾美鈴、岩岡佑次、松尾武志(kanikuso)、祝勇気、塚田朋揮(大林宣彦賞)、角田ルミ