(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「遺骨のトットさん、ドブに落ちる」毛皮族

初日ソワレは、開場、開演がおして、寒空の下に並んで待つこと30分。いやーな予感が心をよぎる毛皮族久々の駅前劇場である。しかも今回は町田マリー、そしてレギュラーゲストの澤田育子もいない。
窓の下をドブ川が流れるはきだめ商事の総務課。トットさんこと白柳(羽鳥名美子)は、窓際族をかこつダメOLだが、入社以来密かに経理部の四街道部長(江本純子)と関係を持っており、部長から巨額の隠し金を預かっていた。しかし、経理部長との不倫がバレたことから、総務課と経理部のOLたちが全面抗争に突入。ついには四街道の妻までが会社に乗り込んできて、会社はとんでもない事態に。
やはり、レビュー的なシーンが最高。とりわけ、お色気と若さで、がんがん迫ってくるオープニングは、これぞ毛皮族という素晴らしさで、彼女たちの持ち味を最大限に発揮している。
しかしながら、本編は目を覆いたくなるしょぼさ。硬派な社会派ミステリー風を謳ってるようだが、間違っても松本清張の社会性はない。旧作からの使いまわしのような主婦たちのエピソードが面白かったり、コミック調のバイオレンスがかろうじて物語のアラを補っている。
現在の毛皮族の魅力は、やはり賞味期限があると思う。そろそろその期限が心配になってきているファンは、わたしばかりではない筈。次回のシアタートップスでは、そんな彼女たちの新生面をぜひとも見たいと思うのだが。(120分)※17日まで

■データ
初日お楽しみのバレンタインチョコ投げが楽しかった初日ソワレ/下北沢駅前劇場
2・14〜2・17
作・演出/江本純子
出演/江本純子、柿丸美智恵、羽鳥名美子、高野ゆらこ、武田裕子、延増静美、平野由紀、高田郁恵、細井里佳、菊地明香、中林舞(小指値)、金子清