(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「親兄弟にバレる」柿喰う客 お台場SHOW-GEKI城参加作品

フジテレビ主催のコンペティションを覗きに行くというよりは、柿喰う客の旧作再演を観るつもりで。なにしろ、今年に入ってからの彼らの充実ぶりはなかなかのもので、年明けのシアタートラムを含めると、まさに怒涛の3か月連続公演になるわけで。
伝統的な格闘技としてわが国に伝わる愛撫道。セクハラ家とお触り家は、その二つの流派だが、両家にはライバルとしての長い歴史があった。そんな愛撫道が、昨今のぱっとしない日本のスポーツ界を横目に、オリンピックの正式種目に加わる話が浮上。セクハラとお触りの両家の間で、どちらが真の流派であるかを決める天覧試合が行われることに。
セックスをテーマにした健全な艶笑話といったところか。本人たちにそういう意図はないかもしれないが、年末の賑やかし公演の趣きもある。覚えきれないほどの登場人物たちを擁しながら、全編をすっきりと見せきるあたり、さすがに上り坂にさしかかった彼らの勢いを感じる。
ただし、近作の充実と較べると、内容的にはさすがに見劣り感は否めず。上演時間の短さのせいばかりともいえない物足りなさが残る。しかし、演出及び中心の役者たちは、乗りに乗っており、そのテンポの良さと疾走感は観ていて痛快。小指値からの客演中林舞も、その世界に違和感なく入り込んでいたのも嬉しい驚きだった。(65分)

■データ
ハイバイ、ブラジルを見逃し、ようやくこれだけ観れた平日17時の回/お台場フジテレビ本社屋1Fマルチシアター
12・15〜12・21
作・演出/中屋敷法仁
出演/高木エルム、七味まゆ味、本郷剛史、コロ、玉置玲央、深谷由梨香、斗澤康秋、大森茉利子、石橋宙男、伊藤淳二、石黒淳士、本田けい、加藤槙梨子、浅見臣樹、梨澤慧以子、古里美穂、熊木進、野田裕貴、片桐はづき、中林舞(小指値)、扇田森也(Mrs.fictions)、須貝英(箱庭円舞曲)、長尾長幸(劇26.25団)