(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「WORMAN -ワーマン- a worm-in-progress」Science project+マヤ印

双数姉妹を卒業した大倉マヤと五反田団の西田まやによるユニット、マヤ印。旗揚げは、清水邦夫のジェントル・ゴーストストーリー「楽屋」をort-d.dの倉迫康史の演出でじっくりと見せてくれました。ほぼ1年半ぶりの第二弾は、ニューヨークからやってきたシアターグループScienceProjectとともに、長いワークショップを経て作った共同企画とのこと。
会場の森下スタジオは、正しくは集合場所。もう公演を終えているので、ある程度はその中身を明らかにしても構わないのではないかと思うのだが、スタジオに入る男女四体が半裸で並んでいて、一見野蛮人のように見える彼らを被写体にして映画を製作するというお話である。われわれ、すなわち観客も、映画のエキストラという役をふられており、スタジオの扉が開き放たれるや、服を着せられた役者たちとともに街へと出て行くことに。
観客参加型であり、街頭演劇の一種なのだが、旅程(まさに、そういいたくなるほどの移動距離なのだ。地下鉄の切符を渡されたときは、正直ビックリ)が進むうちに、芝居というよりはピクニック気分になってくる愉快さがある。
一向に全体が見えないままの移動は、不安でもあるのだが、未知の体験にも似たドキドキ感がある。非日常の不思議な体験であるには違いないが、地下鉄の中で絵本のキャプションを書かされたり、撮影場面では二者択一の自分への問いかけを強いられたりと、普段使わない脳のある部分に与える刺激は結構心地よかったりもする。
移動、撮影を繰り返し、最後のクランクアップの場面では、公園の高台で暖かい味噌汁が振舞われるいこいの時間もある。そこで他の参加者の絵本を読むのも、面白かった。ただ、後半になって寒くなったのは、やや閉口。春や秋口の季節が相応しい企画かもしれない。(100分)
■データ
異なる言語間のコミュニケーションがスムースならもっと良かったろうのマチネ/森下スタジオ
12・20〜12・23
演出/Lloyd-Jones Rebecca
出演/Barron Michael、Dubson Dima、Lloyd-Jones Rebecca、Urquhart Lauren、大倉マヤ、西田まや、仲田恭子 (空間アート協会ひかり)、佐東諒一(イエロー・ドロップス)、上本竜平(AAPA/ Away at Performing Arts)、西川智聡(banana co.)、長瀬良継、吉田亮、高野貴子