(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ときめき都内」チャリT企画

当日、劇場へと向かう下北沢駅の階段を降りながら、ようやく閃きました。ときめき都内=ときめきトゥナイト。なーるほど。えっ、遅過ぎですか?
いくつものエピソードが並行、錯綜する物語。自爆テロを企てる転落したアイドル魔亀旬。対立するデジタル団とアナログ団の抗争、そしてその対立するメンバー同士のトニーとマリアの悲恋、熱血教師マツモト(松本大卒)率いるたった三人の女子バレー部、スマップ草薙のCMに乗せられTVを買い換えた赤貧親娘の悲劇などなど。それらがすれ違い、繋がりながら、クライマックスへとなだれ込んでいく。
わたしが観ている「アベベのべ」と「アメリカをやっつける話」は、いずれもストレートな物語構成だったので、「ウエストサイド物語」や「東京ラブストーリー」などの本歌取りや、猥雑ともいうべきごった煮的な展開に、ちょっと驚かされた。まだまだ強引だったり、こじつけ感があるけれど、ややもすると、まとまりの良さが却って垢抜けない印象を与えがちな彼らにとって、殻を破る意味でも面白い試みといっていいだろう。
また、デジタル放送へ移行反対というメッセージを強く打ち出すあたり、社会派チャリTの面目躍如たるものがある。ただし、似たテーマをすでに後輩の北京蝶々が取り上げていることや、アピール方法があまりにベタだったりする点で(とくにラスト)、彼らの持ち味である毒がやや薄まってしまった感も。そのあたりが惜しまれる。(70分)※12月2日まで。

■データ
20人を越える役者が舞台に並ぶラストはなかなか壮観のソワレ/下北沢OFFOFFシアター
11・27〜12・2
作・演出/楢原拓(chari-T) 
出演/松本大卒、内山奈々、伊藤伸太朗、冠仁、宍倉靖二(innerchild)、熊野善啓、小杉 美香、長岡初奈、橘義一、吉岡亜沙美、杉村こずえ、山崎冴子、金井強、川端桜、柴田さやか、黒田敦之(ちくわぶ)、湖山未来、緋田侑希子、藤本槙子、日根野谷仁、楢原拓
照明/伊藤孝(ART CORE design) 音響効果/島貫聡