(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ホワイト伯爵」殿様ランチ ACT12

現実と虚構の境界線を話題にした当日パンフの主宰ごあいさつに、今回公演のヒントがあると思ったのは、穿ちすぎ?
サンモールスタジオを中央に横切る白一色の舞台。幕があがると、後手に手錠をかけられた板垣雄亮が椅子に括りつけられている。どうやら、何らかの組織内クーデターのようで、リーダーのワンマンに嫌気がさした構成員たちが、彼をつるしあげ、体制の転覆を図ろうとしている様子。緊張しながらリーダーを交替で見張るメンバー。一方、リーダーは彼らを脅したり、賺したりしながら、緊縛からの脱出を図ろうと試みる。果たして、これは一体どういうことなのか?
なるほど、セルフパロディですか。過去に一度しかみていない殿様ランチだが、しかし、それでもこの劇団が主宰の板垣雄亮のワンマンユニットだということは十分に察せられた。他の役者たちも、それぞれに面白味を持ってはいるが、しかし主宰の個性の強さと達者さの方についつい目が行ってしまう。きっと、内部にはジレンマもあるのだろう、と余計なことが気になって。
で、これだけシンプルな作りにもかかわらず、1時間半を観せてしまうのは、なかなかの力量。しかし、それとて、笑いや展開の要には、必ず主宰の板垣がいるあたりが、可笑しくも悲しい。こういう芝居を観せられると、殿様ランチの次のステップは、舞台上の板垣抜きで何が出来るかではないか、という気がしてくる。過酷なハードルやもしれぬが、一度は越えないとこの劇団の未来は見えてこないのではないか。(90分)※27日まで。

■データ
タイトル、真っ白なチラシの意味するものは?のマチネ/新宿御苑サンモールスタジオ
11・21〜11・27
脚本・演出/板垣雄亮
出演/杉岡阿希子、佐藤玲子、竹内礼美、平塚正信、南あゆ美、藤堂敦、小久保剛志、服部弘敏(IDENTITIEZ)、板垣雄亮