(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

グラデーション/永井するみ(短評)

理論社の〈ミステリーYA!〉の一冊として刊行された「カカオ80%の夏」がなかなか好評の永井するみ。この『グラデーション』は、足掛け3年にわたる「小説宝石」の連載をまとめたものだが、ミステリではない。ひとりの少女の14歳から23歳までを追いかけて、彼女が大人になっていく課程を描いた青春小説タイプの連作長編である。
8つのピースから、ヒロインの成長を浮かび上がらせようとする狙いは、なかなか面白いと思う。ただし、ひとつひとつの断片に、それなりの密度は必要だろう。本作は、ひとつひとつの作品に精彩がないうえに、やがてエピソードが枯渇してしまったかのように、1篇1テーマのルールが崩れはじめ、最後は団子状態になってしまう。これは、うまくない。
最初の中学生時代を描く文体がやけに幼く、時間の経過とともに変化していくのかなと期待させるものの、残念ながらそれはなかった。しかし、いつまでたっても成長しない主人公には、正直苛立ちをおぼえた。コピーに、「等身大の10年間」とあるが、等身大というのは、まさかそういうことじゃないと思うのだけれども。去年の「ダブル」が面白かっただけに、がっかりだ。

グラデーション

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