(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「第二章 流れ姉妹〜グレートハンティング〜」真心一座身も心も

大衆演劇を標榜する一座が上演する連続ものの第二幕だ。(前回公演は、2005年青山円形劇場)個人的には、NYLON100℃村岡希美(のぞみ)が座長を務めるというのが嬉しいが、千葉雅子のホン、川原雅彦の演出に引き寄せられるファンも多いだろう。さらに豪華なゲスト、それもダブルでとなると、注目の公演であることは間違いない。
かつこ(村岡希美)とたつこ(千葉雅子)の根上姉妹が辿る数奇な運命を描くこのシリーズ。前作のおしまいで、ふたりは再び別れ別れになってしまった。続く第二章では、たつこの行方を捜すかつこが、芝居小屋を巡業する一座に加わっている。そこで、座長の松島(高田聖子)をはじめ座員たちに気に入られた彼女は、北九州は小倉の地へとやってくる。
一方、北の町では暴力沙汰で警察のお世話になったたつこ(千葉雅子)が、万引でつかまった岩崎(相島一之)と知り合いになる。やけに人懐っこい岩崎が妙に気になるたつこは、彼のあとを辿って小倉へとやってくる。かくして姉妹は、この町で再び相まみえることに。
通路階段を花道に見立てて、そこをめまぐるしく役者たちが舞台へとかけあがる。舞台装置の転換や衣装替えも、サービス満点のめまぐるしさ。さらには、運命のいたずらが相次ぐ展開の面白さと、芝居の通俗な面白さを抽出したような内容だ。
千葉雅子の脚本は、いつものようにどこか癖があるが、こてこてに作り上げた登場人物のキャラクターたちが勝手に動き回っている印象がある。観客は、その怒涛の展開にただただ身を任せていればいいという楽チンさがいい。高田聖子に男役という発想も、成功していると思う。
根上姉妹を演じるふたりの女優もしっかりと芝居を引っぱるが、政岡泰志、伊達暁小林顕作もしっかりと脇を固めており、お笑いの場面では坂田聡のお株を奪っている感もある。次回がいつになるかは不明だが(また二年後?)、エンディングで明かされた驚愕の展開が待ち受ける第三部を楽しみに待ちたい。(100分)※21日まで。

■データ
いい劇場だけど、案外椅子がチープだなと改めて思ったソワレ/赤坂RED/THEATER
10・7〜10・21
作/千葉雅子猫のホテル) 演出/河原雅彦 
出演/村岡希美NYLON100℃)、千葉雅子坂田聡、高田聖子(劇団☆新感線)、相島一之小林顕作(宇宙レコード)、政岡泰志(動物電気)、伊達暁阿佐ヶ谷スパイダース)、信川清順、河原雅彦