(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

恋するからだ/小手鞠るい(短評)

アメリカ、ニューヨーク市在住。「詩とメルヘン」出身、1993年にベネッセの海燕文学新人賞を受賞したこともある小手鞠るいの書き下ろし長篇で、ハワイを舞台にアメリカ国籍日本人少女が主人公の日常と恋の物語である。
ヒロインが等身大であるか、彼女の心情がビビッドであるか、あたりが本作評価の分かれ目になろうが、主人公と境遇がまったくシンクロしないわたくし的には、あまりピンとこない。キレイに書かれているのだけれど、性的な奔放さもうわべだけだし、引き摺る少女趣味も鼻にもつく。ヒロインの生き方がどこか上滑りしている感じがしてしまう。
頬、指先、唇などの体のパーツをタイトルに章立てされているが、趣向どまり。成り行き任せの終わり方でなく、やはり結末になんらかのカタルシスがほしいやね。

恋するからだ

恋するからだ