(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「俺達はマシンガンじゃないって。」マーク義理人情第12回公演

海辺の田舎町が舞台のようだ。ひまわりの花束を手にした男が舞台上段の下手より登場。上手に移動したところで、下段に体操服や普段着姿の少年少女が、ひとりまたひとりと元気よく舞台中央に走り出てくる。こどもたちは、繰り返し合唱の練習をしている。やがて、花束の男は、一緒になって子どもたちと本気で遊びはじめる。
男と子どもたちの推定年齢差から、どちらかが死者なのかと思ったが、それは深読みだろう。合唱の発表会を目前に、引っ越し、転校で離れ離れになってしまった幼馴染みたちの後日談であり、回顧談に違いない。子どもたちの無邪気で、ときに暴走する遊びの世界をエネルギッシュな体の動きで表現し、郷愁をたたえた舞台に仕上げている。
マーク義理人情は、1998年に舞台芸術学院の卒業生たちが結成した劇団で、台本を使用した芝居から、能動的な役者の特徴を生かすためにエチュードでの創作に移行し、現在にいたるようだ。大胆不敵なまでの肉体を使った表現は好みを分けるかもしれないが、わたしは独自性がある種の普遍を生んでいるようで面白いと思った。星を眺める場面のミラーボールの使い方など、照明の使い方も効果的だった。(75分)

■データ
昼は猛暑の日のソワレ/王子小劇場
8・1〜8・5
出演/竜沢孝和 岡崎智浩 成瀬功 高橋康則 今井千恵(ONEOR8)瀬戸口のり子