(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「チャイルドプレイ」国分寺大人倶楽部第二回公演

ポツドールやジョーロなど今どきの若者の青春群像を描く舞台で、独特の存在感を放つ河西裕介が一橋大学の英語劇サークルを母体に立ち上げた国分寺大人倶楽部。本年1月に吉祥寺櫂スタジオで行われた旗揚げの『リバース』は見逃したが(というか、まったく知らなかった)、第二回公演では中野のスタジオあくとれへ進出。
低料金で、常連客もついている今どきのネット・カフェが舞台。店長は、ふたりのバイトを使って切り盛りしているが、そのふたり、仕事中に大声でおしゃべりするし、客の扱いもぞんざいで、まったく使えない。新しいバイトを雇おうにも、ロクな奴はやってこない。さらに、客の中には苦情のマニアもいれば、女の子を連れ込みいちゃつくリーマンもいる。店長は、バイトをなだめすかし、客には気を遣いと、苦労が絶えない。
退屈なネットカフェの毎日に一石を投じたのは、店のネット掲示板に投稿された犯行予告だった。投稿者は、この店をハイジャックするという。そして、その予告の期日がやってくる。バイトの子にふられたり、ハイジャック事件後のマスコミ対応に追われた店長は、心の余裕を次第に失っていく。
ユニットのキャリアが浅いこともあって、脚本も役者もまだまだ習作の域を出ない出来映え。ただ、コミュニケーションが成り立たない世界でのコミュニケーションというテーマが面白いし、チャット風の掲示板への書き込みをスライドで挿入するという小技がなかなか効いている。役者では、客演を含めて、女優陣がいい味を出している。
主宰の河西だが、ここでは作・演出に専念したいのかもしれないが、舞台を引っぱる意味で、役者としても頑張ってもらいたいところ。ポツドールやsmartballのエピゴーネンと言われぬ方向性を見つけてもらいたい、とも思う。(95分)

■データ
最終日ソワレ/中野スタジオあくとれ
7・20〜7・22
作・演出/河西裕介
出演/太田 恵、井龍子、大塚太介、小斉英嗣、杉本朋之、戸田佐恵、佐藤尚樹、加藤あやな(えんがわカンパニー)、菅原達也、小杉美香(チャリT企画)