(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「はなとゆめ」はなとゆめ第一回公演

ロリータ男爵に籍を置く津久井亜以のプロデュースユニットはなとゆめ。もちろん、ネーミングはあの「ガラスの仮面」でお馴染みのコミック誌からですよね。20歳そこそこの若手らしいのに、出演者にこれだけの顔ぶれを集めるのか、と感心させられる豪華キャスト。なんともびっくりの旗揚げ公演である。
山と森に囲まれた寄宿舎付きの学校。ここでは、文学を志す良家の子女たちが寝起きを共にし、日夜勉強に励んでいる。しかし、彼女たちが学んでいるのは、実は官能小説のお勉強。恥ずかしいのか、恥ずかしくないのか、ハウツー官能小説のドキドキするような授業が、今日も教室で行われている。そんな彼女たちの日常は、やってきた新任の先生を歓迎したり、厳しい校長から仲間がお仕置きを受けたり、と忙しいのだが。
公演ごとに気になる役者に声をかけたり、オーディションでメンバーを集めるユニットとのことだが、先生と生徒たちに、野鳩、むっちりみえっぱりからの客演陣を起用。そこに、吉原、丹野といういい味の女優陣が絡んで、絶妙の脱力系ワールドを出現させている。さらに、新任教師役でつかみどころのない森田ガンツが加わり、ファンタスティックなわけのわからない雰囲気はさらに加速していく。
女の子と性、あとそれに対する恥ずかしさ、がテーマとアナウンスされていたが、こういう料理法があるとは思わなかった。物語性にややまとまりは欠くものの、初回でこれだけの世界を構築したのだから、よしとすべきだろう。シンプルなセットの中で、場面ごとに可愛くも、雰囲気のあるシーンを浮かび上がらせた照明の技にも感心した。(65分)

■データ
初日ソワレ/阿佐ヶ谷 アートスペースプロット
6・29〜7・1
作・演出/津久井亜以
出演/吉原朱美(ベターポーヅ)丹野晶子(ロリータ男爵)、佐伯さち子 (野鳩)、吉田麻生(むっちりみえっぱり)、工藤史子、馬場悠理子、福屋吉史、下尾里美、樋口洋志、森田ガンツ(猫のホテル
振付/依田朋子 舞台監督/森知行 照明/萩原賢一郎〈(株)ライトスタッフ〉 音響/原陽子