(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「はいざら小町」殿様ランチ アーカイヴス#2

作・演出の板垣雄亮を中心に、2001年旗揚げ。ここ数年は、年2階のきっかりとしたペースで公演を重ねてきている殿様ランチ。新作と並行して、過去の上演作をリバイバルする試みも行っており、今回の「はいざら小町」もそのひとつ。(初演は2003年7月@アルシェ)
売れっ子作家宅の待合室に、新人の女性編集者がやってくる。ところが、そこには先客の他社編集者たちがずらり。遅筆で編集者泣かせのその作家から原稿を貰うために、泊り込んでいる者までいる始末。仕方なく彼女は、腰を落ち着ける覚悟をするが、作家は隙さえあれば逃げ出しそうになる。一方、その家には少し前より謎の美女が入り浸っていて、作家の助手は彼女の存在にイライラをつのらせている。そんな中、作家が某文学賞の最終候補に挙がったというニュースが飛び込んできて。
おそらくは、昭和初期という時代設定。時代の空気が実に濃厚に漂っており、板垣演ずる作家の装いも現代作家のそれではなく、まさに文士。文学賞にあくせくする文壇の風潮は現代的ともいえるが、どことなくたおやかでノスタルジックな雰囲気に、過ぎ去りし良き時代への郷愁が漂ってくる舞台だ。
秀逸なのは編集者たちが花火を眺めるラストシーンで、クライマックスの演出としてはさりげなくも申し分なし。役者的には、竹中直人を思わせる達者さで全体を引っ張る板垣雄亮が際立っているものの、他の劇団員たちもそれぞれに得意技があるようで悪くないと思った。(100分)

■データ
ソワレ/新宿御苑サンモールスタジオ
6・27〜7・3
作・演出/板垣雄亮
出演/杉岡阿希子、佐藤玲子、平塚正信、南あゆ美、久野まどか、藤堂敦、小久保剛志、板垣雄亮、菊川朝子(Hula-Hooper)、服部弘敏 (IDENTITIEZ)、宇井タカシ(イキウメ)