(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「METROPOLIS PROJECT/Re-metropolis project3」 劇団10x50KINGDOM

短篇演劇というスタイルの確立を目指して、共通の舞台(町)、共通の人物(役者が同一の登場人物を演じる)というルールで、合計300本の短篇(1本が10〜15分程度の二人芝居)を作り上げようというじんのひろあき率いる劇団10x50KINGDOMの壮大な計画METROPOLIS PROJECTについては、前々から気になっていて、今回ようやく足を運べた。2002年にスタートし、5〜7編をひとつの括りとして、1回の公演で2、3セットずつの上演を行ってきたこのプロジェクトも、すでに100話を越え、長丁場の中盤に差し掛かっている。今回はそのVol.20と21だが、実は新作と並行して、過去の作品もリバイバルさせるという中途からの参加者には有難い企画(Re-metropolis project)も行っており、まずはそちらを覗いてみた。
上演作品は6編、タイトルと出演者は以下のとおり。
『万引きストーカー』 工藤良輔×山川紗弥
『同棲解消』 野中希×宇佐美雅司
『どうにか・したい』 松下貞治×蓬莱大介
『五十一回目の夜』 坪井一広×中山 浩
『砂糖菓子』 山川紗弥×松下貞治/蓬莱大介ダブルキャスト
『その節は・・』 吉久直志×工藤良輔
ひとつひとつの短篇としての完成度は、正直、その作品だけで勝負できるレベルには達していないと思う。台詞一つにとっても、選びぬかれた感じがしないし、作品のキレもそこそこ、独立している佇まいにも乏しい。まぁ、大きな絵柄の1ピースとして作られているから、それもやむなしなのだが、やはり喰い足りない印象が強い。
ただ、登場人物が共通というところが大きなミソで、たった6編でイメージを膨らますのは無理だとしても、観続けることによって作品間の繋がりが見えてくると、面白くなりそうは気配はある。というわけで、次回の9月公演は、時間が許す限り、新作も精力的に観てみたいと思う。
なお、今回の6編でもっとも印象が強かったのが、最後の『その節は・・』で、吉久直志の熱演もあってのことだが、「ダイハード」さながらのアクションを丁寧に台詞で構築する面白さがあった。(110分)

■データ
マチネ(16時の回)/江古田ストアハウス
5・30〜6・10
作・演出/じんのひろあき
出演/坪井一広、野中希、宇佐美雅司(Amrita Peace)、中山 浩、吉久直志(カプセル兵団)、松下貞治、蓬莱大介山川紗弥美少女クラブ21
美術/深海十蔵 照明/千田実(CHIDA OFFICE) 音響/前田規寛(M.S.W)