(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

「ファイナルファンタジックスーパーノーフラット」劇団、本谷有希子 第12回公演

主宰の本谷有希子は、昨年の『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞を受賞し、文学方面でも芥川賞三島由紀夫賞の候補になるなど、近年の活躍が著しい。佐藤江梨子主演で映画化された「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の公開も間近に控えている。今回は、2001年の「ファイナルファンタジー」を改訂しての再演になる。
父親から譲り受けたプライベート遊園地を、頑なに守り続けるトシローと呼ばれる男(高橋一生)。大人になれない自分を象徴するかのように頭にウサギの耳を付けた彼は、死んだガールフレンド、ユクの思い出を胸に、四人の若い女たちを囲い、たったひとりの従業員縞子(笠木泉)に、面倒を見させている。彼女たちは、自殺志願者の掲示板の常連だった過去があり、救いの手を差し伸べたトシローを信頼し、生前のユクの姿格好そのままで、彼と生活をともにしている。
そこに、編集者の夏超(ノゾエ征爾)が、小説家志望の詠子(すほうれいこ)を伴って、乗り込んでくる。妻であり小説家の琴音(吉本菜穂子)を連れ帰るのが目的だった。しかし、琴音は頑として動かない。そこで、詠子は彼女らとともに、遊園地での共同生活に加わってみることに。
わたしは、2004年の「乱暴と待機」からのお付き合いだけれど、前回の「遭難、」から確実に判りやすさが前面に出てきてますね。今回も、屈折したオタク男が、拉致まがいの監禁で女性たちを囲うというとんでもないシチュエーションを持って来てはいるが、終わってみればきちんと成長の物語として着地している。うまいものだと思いました。
ただ、世代的なものもあって、主人公に率直な共感を抱けないわたしとしては、評価は微妙。(主人公よりは、その父親に近い世代だから、当然といえば当然だが)また、前記の判りやすさも、必ずしもプラスに評価されるとは限らないところもある。ネット上の評価も割れているようで、これからの劇団の方向性はかなりキツくなるとわたしは予想しているのだが。(120分)※24日まで。


■データ
初日ソワレ/吉祥寺シアター
6・4〜6・24
作・演出/本谷有希子
出演/高橋一生笠木泉、吉本菜穂子、ノゾエ征爾(はえぎわ)、松浦和香子(ベターポーヅ)、高山のえみ、斉木茉奈 、すほうれいこ