〝グエムル 漢江の怪物〟ポン・ジュノ監督(2006)
カンヌでの評判は、ハリウッド製のSFXだったのか。それとも、ボン・ジュノの家族の絆を語る濃い語り口だったか。ともあれ、〝殺人の追憶〟の監督らしさは、怪物(グエムル)に連れ去られた娘(コ・アソン)を取り戻そうと家族が思い思いの手段で立ち向かっていくくだりに、よく現れている。
しかし、正直いうと、今回はそこがやや冗漫。環境汚染やアメリカに対する不信感といった味付けが、やや中途半端のような気もするし、ソウル市内(漢江は市内を流れる大河)で怪物があばれているわりには、どうも悠長な空気が流れているあたりに、大きな疵があるように思える。
興味を惹かれたのは、漏れ伝わってきたアンチ・クライマックスとの評判だけれど、それとて大したことはなかった。あの程度は、予定調和の範囲でしょう。もっと、救いのない幕切れが用意されているのかと思って、期待してしまった。唯一、素晴らしいなと思ったのは、序盤で漢江からあがってきた怪物が暴走する場面で、ユーモアすら感じさせる壮絶な数分間は、まさに見もの。残念ながら、その興奮はそこだけのものなのだけれど。
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