2006年に観た芝居のこととか
のほほんとしているうちに、早くも新年の10日が過ぎてしまった、というていたらく。そこで、慌てて昨年のことなどを。昨年、劇場に足を運んだ回数は、トータルで119回。もっと観てる気がしたけど、意外と少ないでした。回顧などという大袈裟なものではありませんが、個人的にとりわけ心に響いたと思えるものを順不同で10作あげさせてください。
・恋人たち(ブラジル)@王子小劇場
・ナイス・エイジ(NYLON100℃)@世田谷パブリックシアター
・双魚(七里ガ浜オールスターズ)@下北沢OFF・OFFシアター
・散歩する侵略者(G−upプレゼンツ)@新宿スペース107
・再生(東京デスロック)@小竹向原アトリエ春風舎
・夕景殺伐メロウ(デス電所)@下北沢駅前劇場
・女のみち(ポツドール)@シアタートップス
・噂の男(福島三郎作、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出)@渋谷パルコ劇場
・山犬(劇団鹿殺しオルタナティブズ)@ザムザ阿佐ヶ谷
・プレイヤー(イキウメ)@新宿サンモール・スタジオ
ブラジルは、切れのいいミステリ劇だった〝疚しい理由〟もよかったけど、充実度でこちら。桑原裕子の熱演も素晴らしく、ラスト間際の畳み掛ける展開が感動でした。演劇人として、すでに難しい地点まできてしまった感があるケラだけど、水と油の関係にありそうな福島の脚本を血まみれに塗り替え、濃いブラックコメディに仕上げてみせた〝噂の男〟は良かった。また〝ナイス・エイジ〟の再演も、当時のままという物足りなさはあったものの、成功だったと思う。〝双魚〟〝散歩する侵略者〟〝プレイヤー〟の三作は、乗りに乗っている前川知大の世界を、それぞれのチームが密度の高い演出と演技で濃密な世界を構築してみせてくれたと思う。東京デスロックの〝再生〟にあった無謀とすれすれのところにある冒険のスリルは、演劇ファンの心を揺さぶるに十分。同じくスリルという点では、鹿殺しの別働隊による〝山犬〟も相当なもので、奈落を使った大胆な演出も見事だった。本家三浦大輔よりも濃密な人間関係を描いてみせた〝女のみち〟、エネルギッシュな展開の裏側に科白の力を感じたデス電所と出会えたのも、大きな収穫でした。
以上のほかにも、熊(メタリック農家)、夢の城(ポツドール)、恋の片道切符・津田沼(THE SHAMPOO HAT)、スイム(アーノルドシュワルツェネッガー)、道子の調査(ペンギンプルペイルパイルズ)、へ音記号の果物(蜻蛉玉)、Maggie(SLOWRIDER)、クローバー:秋(ククルカン)、さよならぼくの小さな名声(五反田団)、廻罠(乞局)、吉田鳥夫の未来(無機王)、イヌの日(阿佐ヶ谷スパイダーズ)、vocalise(リュカ)、キケンなニオイはしてたよね(マナマナ)、俺の屍を越えてゆけ(王子小劇場プロデュース)などからは、何ものにもかえがたい感動を与えてもらった。感謝するばかりである。