(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

セーラー服と機関銃(相米慎二監督/1981年)

【メモ】
まさか21世紀になって復活するとは思わなかった赤川次郎原作作品。当初、主婦と生活社から出た原作(1978年刊)をもとに、すでに〝台風クラブ〟などで評価の高かった故相米慎二がメガホンをとった。主演は、人気の絶頂期にあった薬師丸ひろ子で、彼女の夏休みを使って撮ったといわれる。ロケ地は新宿。彼女の呟く「カ、イ、カ、ン」という台詞は、あまりに有名だ。
原作ものであるせいか、相米慎二作品に特有の生臭さは希薄だけれど、死体になった渡瀬恒彦に薬師丸がキスする場面(しかも、警察の死体安置所でだ)などには、なんとも気色悪い。このシーン、まったく不要だと思うのだが。あと、エンディングで、薬師丸に赤いハイヒールを履かせて、マリリン・モンローを気取らせるのは、いくらなんでも監督のひとりよがりという気がする。
などと、ついつい余計なことをいいたくなる箇所がいくつかあるけれど、幼稚な原作を、それなりの映画に仕上げた手腕はさすがで、キネ旬のベストテンに食い込んでもおかしくない仕上がりだったが、それは果たせなかったようだ。
しかし、今年になって長澤まさみを起用したTV番組が制作されたのには、正直びっくり。TV界ってのは、そんなに原作日照りなの?ちなみに、この映画の翌年には、やはり角川映画の看板だった原田知世でTVドラマ(フジテレビ系列で放映)が作られている。原田知世は、この作品が芸能界デビューだった。また、原作には『卒業−セーラー服と機関銃・その後』という続編がある。