(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝クローバー:秋〟ククルカンproject#001

10人の男優たちの若い肉体と切れのいい台詞が飛び交う90分。と書くと、どう考えても、わたしの好みではないのだが(笑)、しかし、これはいい。1999年の旗揚げ以来、加東(かひがし)航が作・演出を担当する芝居を上演し続けている演劇ユニットのククルカンは、今年は〝クローバー〟と題して、四季にちなんだ作品の連続公演を行っている。今回の〝クローバー:秋〟は、その第三幕にあたる。
月島の部屋の窓から眺める景色と独白するひとりの男のプロローグ。彼は、何かをやり直そうとしているようだが、しかし疲れてもいて、それがやけに億劫そうにも見える。やがて、ドラマが始まる。といっても、ドラマは錯綜している。月島をひとつの王国に見立てて、王子に出生の秘密をせがまれる王様が過去を回想する。それに絡むのは、合コンで盛り上がらなかったことをきっかっけにそれぞれがゲイであることを自覚し、告白する3人の男たちや、そして出会い系のサイトで知り合い、互いを偽る二人など。繋がっていきそうもない話が、心地よさを伴ってすいすい繋がっていく。シーンの中、そしてシーンとシーンを繋ぐテンポがとてもいい。
会場の月島TEMPORARY CONTENPORARYは、なるほど倉庫の1スペースをイベント会場にした施設なんですね。案内がなければ、ちょっとわかり難い場所にある。細長いところと、天井が高いことから四方を囲む白い壁に特長がある会場で、それを生かしたスライド映写の巧みさにまず感心させられた。なるほど、人間のシルエットを重ねる手法は絶妙だ。
〝クローバー〟の全体のコンセプトは、「固体を、男女を、人間の営みを、〝春夏秋冬〟を記号化して描く四つの断片」で、今回秋は「〝いつか〟は枯れる 〝どこか〟で老いる それでも〝なにか〟を欲し続ける」とHPやパンフにあったことから、てっきり〝老い〟が前面に出てくる芝居と思いきや、10人の男優は実にエネルギッシュに舞台上を動きまわる。そこに繰り広げられるドラマの数々は、橋本恵一郎演じる男(=王様)の過去の回想なのだろうか。イントロとアウトロの独白に滲む疲労感は、そういうことだったのか、と納得した次第。
過半数が客演(それもバラバラの劇団から)でありながら、男優たちのその絶妙のチームワークにも正直舌を巻く。橋本恵一郎のリーダーシップもしっかりとしているし。その芝居に寄り添い、場面ごとのメリハリを鮮明にするバンド(トリオ)の生演奏と、妖精のようにドラマの間を駆け抜けていくダンスとのコラボも面白い試みに思えた。

■データ
2006年10月6日ソワレ/月島TEMPORARY CONTENPORARY
10・5〜10・9
作・演出/加東航
出演/橋本恵一郎、今里真、春日和弘(はぶ談戯)、小松君和(神様プロデュース)、齋藤了介(AchiTION!)、澁谷正洋、杉木隆幸(play unit-fullfull)、斎田吾朗(ペテカン)、長谷川寧(冨士山アネット)、平野明徳(NO RABEL!)
写真/青山裕企(ユカイハンズ)、ダンス/金崎敬江、生演奏/UMEZY&遠藤里奈