(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

〝表へどうぞ〟むっちりみえっぱり

役者さんたち(6人の女優)は、もともとは世田谷パブリックシアターのワークショップで知り合ったのが縁とのこと。1999年の旗揚げだが、その後数回公演をやって、ちょっと冬眠をしていたようだ。それから目覚めたのが今年の初めで、メンバーの中には、テルミン奏者がいたり、イラストレーターがいたりと多彩だが、復活後第2回にあたる公演の今回は、江川瑠衣、佐藤沙恵、樋口紱子、古谷充子、山本由佳、吉田麻生のフルメンバーが顔を揃える。(前回は、樋口と佐藤が欠けていた)
冒頭、天井から吊るされた南国の鳥たちが紹介されていくのは、一体何かと思っていたら、ディズニーランドのアトラクションのパロディなんですね。お話は、ディズニーランドの着ぐるみのオーディションであるとか、電子音の音楽を撲滅運動、らっこをめぐるやりとりなどから作られていて、スカスカな構成ながら、舞台が進むにつれて、ぼんやりと東京湾に浮かぶ小島とディズニーランドを繋ぐラインが浮かび上がってくる。
しかし、そのラインはひどくよれている。ひとつひとつの場面がシュールでへなちょこ。役者たちの演技も、ヘタウマといったらいいのか、白っとした空気を醸しだしていて、観客もそのお話のほつれ具合についつい脱力し、思わず笑ってしまう。
そんな中で印象に残ったのは、年下のボーイフレンドにデートの約束をすっぽかされた女性の愚痴の場面で、ここだけは台詞がやけにリアルの質感のようなものが出ていて、面白かった。全体の軽量級のエピソードが多いので、こういうシーンが増えると、もっとメリハリが出て、さらにいい芝居になると思う。
失礼な言い方を承知でいえば、イノセントと悪意が混在するような舞台は、まさに天然記念物的な存在だと思う。軽やかなフットワークで、ぜひ活動を継続していただきたい。

■データ
2006年9月30日マチネ/五反田アトリエヘリコプター
9・29〜10・2
出演/江川瑠衣、佐藤沙恵、樋口紱子、古谷充子、山本由佳、吉田麻生、望月志津子(五反田団)、齊藤庸介
カフェ/中川幸子、スタッフ/猪川哲一朗、小早川晋、中道智子、本郷華里