(その後の) a piece of cake !

今宵、すべての劇場で。

閉ざされた森(2003)

ミステリ劇だというので、ずいぶんと前からマークはしていた『閉ざされた森』をDVDでようやく観た。監督はジョン・マクティアナン、密林が舞台ということで、勝手に『プレデター』を連想したりもしたが、かなり練りこんだ推理劇になっている。
パナマに駐留する米軍で、鬼軍曹(サミュエル・L・ジャクソン)率いるレンジャー部隊が、特殊な訓練のさなか、森の中で消息を絶つ。捜索のヘリが、味方同士で撃ちあっていた彼らを発見。2名が生還するが、1名が死体、そして残る4人は行方不明のままだった。尋問に対し、固く口を閉ざし、何も語らない生存者たちから情報を聞きだすために、元レンジャー隊員だったトム(ジョン・トラボルタ)が非公式に呼び出される。トムの尋問により彼ら緊張は緩み、やがて、森で起こった事件について語り始めるが、2人の証言は互いに食い違い、矛盾に満ちたものだった。
生還した2人レンジャー部隊員の証言によって、暴風雨の森で起こった殺人という過去を再構築していく過程の試行錯誤が非常に複雑にできている。6人のレンジャー部隊員をきちんと頭にたたきこんで観ないと、あれれ、ということになりかねない。ただし、多くを語ることはできないが、その錯綜する展開自体が、観客を陥れる大きな仕掛けになっていて、最後に明らかにされる真相が、そこまでの違和感を一気に一掃するシナリオはお見事。[★★★]